(99.05.01)(01.02.01)
Japanese Only
Del-phobia (消去恐怖症) の発見
二次記憶装置は,劇的に価格が下落している.1980年代には1MBが1万円であっ たが,現在では1GBが1万円になりつつある.(2001.2現在,80GBのHDD(Maxtor 98196H8[81.9GB])が秋葉原で3万円以下で購入可能になっている) 人々は数GB のHDDをいくつも購入する時代になっている.ところが,HDDは常に不足してい る.ソフトの容量が増大しているのが主な要因であると考えられるが,それ以 上に深刻なのは我々がHDD容量を節約することに神経を使わなくなったことで ある.それ自体は科学の進歩として喜ばしいことであるが,新しいphobia(恐 怖症)を増進させる結果となったと,私は指摘したい.その恐怖症とは,「消 去恐怖症」である.我々は絶対に二度とアクセスしないデータをいつまでも消 去できず,かならずどこかに保存したくなる.本来おなじコピーを複数持たな いような工夫をするところであるが,消去恐怖症の症状では,とにかく保存だ けを増加させる.自分でも絶対に後で見ないだろうと思うようなデータであっ ても,保存するのである.我々は,消去に対して潜在的に抵抗するようになっ ているのであるというのが,ここでの論点である.
yoshinov@i.am