Time-stamp: "2010/04/15 09:36:10(JST) by yoshinov"

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擬人化研究メモ置き場

anthropomorphic/personify/擬人化 on Twitter

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ここでの擬人化研究とは?

人間と機械システムとのインタラクションでは,人間同士のインタラクションと同様の態様を創造するために擬人化が議論の俎上に上ることがある.しかし「人間やキャラクタの顔や姿を表示したり,システムが自然言語で応答するもの」を擬人化インタフェースまたは擬人化エージェント等と呼ぶ工学研究のほとんどは,擬人化そのものについては議論していない.人の姿を画面に表示したからといってただちに擬人化と呼ぶことには躊躇を感じる.逆に,ふつうの目覚まし時計に対しても「はいはい.起きましたよ・・」などと語りかけることもある.機械のちょっとしたユーモラスな動きを見て「この子,ヨチヨチ歩いている〜」と表現することもある.

では,ここで議論したい擬人化とはなにか?多様な定義が可能であるが,ここでは

  1. 人間Xと相互作用する機械システムSがあるとき
  2. XはSが人間ではないことを知識として知っており
  3. XはSに対して機械に対してとる(と一般的に考えられている)社会的態度aとは異なる態度αをとる場合

と定義しておく.機械とは人工物と置き換えてもよい.社会的態度とは,例えば挨拶をするとか怪我をさせないようにするといった行動のことである.広義には人間を表現するときだけに用いる単語を用いて対象を表現することも含まれるであろうが,あくまで「態度」であるから,単純な心象は含まない.対象から受けた影響に基づく相互作用(インタラクション)が必要である.

注意を要する点は,比較としての社会的態度を想定可能な場合だけを取り扱うことである.同種の機械システムMに対しては社会的態度aで接し,Mになんらかの変更を加えた機械システムSに対しては社会的態度αで接し,それは人間にとる一般的な社会的態度βと同種のものであるという関係が必要である.

ただし,上記の定義では人間にとる一般的な社会的態度βには限定していない.これは人間だけでなくたとえばペットのような存在に対してとる社会的態度γであっても議論の対象に含む趣旨である.ペットと機械システムとの差異とはなにかも議論しなければならない点であるが,当面は単純に「人工物と自然の生命体の差」として把握しておけば足りるであろう.

想定される主な論点は以下のようなものがある

擬人化研究はどんなものか。

顔があれば擬人化か? マイクロソフトエージェント(マイクロソフトは Microsoft Agent テクノロジの開発を中止) 擬人化エージェントツールキット Galatea Toolkit キャラクターとの違いはあるか. http://t-megumi.com/tetsu-chara/tetsu-chara.html http://www.ayu.ics.keio.ac.jp/members/osawa/pdf/dthesis.pdf 顔がなくても擬人化⇒目覚まし時計に話しかける 名前をつける行動はどう評価しうるか. 人工無能は? http://www.ycf.nanet.co.jp/~skato/muno/index.shtml 擬人化とは人間っぽく振る舞わせる問題なのか? Reeves and Nass の議論との関係はどうなるか. こちらがわの認識の問題か.(相手がbotであると知っている場合,人間であると誤信している場合などは議論にどう影響するか)

擬人化するといいこと

相手を大切にする?認識率があがる?(相槌)、ログの入力が楽?(機械に対する記述だと構える?会話風だと気楽?)つまらないものを楽しくできる?微妙な表現を理解しやすくなる?

擬人化の難しいところ

時間がたつとブザーと一緒になる。誰でも起こすのか不明(制御困難)。

人間との違いに着目

決して疲れない.同じことを繰り返す.

擬人化による逆効果?

その昔,北大で「ネネ」という自然言語対話システムが開発された.ネネは,対話の最初に「いらっしゃいませ.どなたですか?」と尋ねるように作られており,それに対してプロジェクトのメンバーの名前を答えると「メンバーの方ですね」と返答し,名簿にない名前を答えると「お客様ですね」と答えるようになっていた.ところがそのシステムを試す人は以下のような対話を行ったりしたという

この話は,データベースにない発話をされるとシステムでは対応しきれないでおかしなやりとりになる,というコンテキストで語られることが多い.しかし,擬人化研究の立場からは「なぜこのように試してみようという考えを引き起こすのか」に着目したい.人間に対してはこのような「試してみよう」という行動は起こさないのに,機械システムが自然言語対話をしようとすると,かなり高い確率で試してやろうという気を起こすのである.

事例

ネットで見つけた事例:: botの場合

recipetter
利用者の反響1 ● レシピが見つからなかった場合、たまに辛口返答 ● 「その組み合わせはどうかと思うよ・・・」→うけた ● 「ありがとう」などに反応するようにした ● recipetterにお礼を言う人が多かったから
mailiconyoshinov.yamamoto@aist.go.jp