(Apr/2002)

このページは HTML 4.01に準拠しています.Netscape Navigatorにはスタイルシート処理にバグがあるために読みにくい個所があります.

SSCとはなにか

概要

高まる社会不安を背景に,マンションや病院などで防犯CCDカメラの設置が広がっている.その一方で,自分の日常生活をどこかに潜んだ見知らぬ誰かに観察されているかもしれないという環境の中での生活は決して心地よいものではない.防犯カメラの需要は今後も大きくなるが,同時にプライバシー保護は社会的な要望でもある.企業や研究機関等ではIDカード等を使って不正な侵入を防止しようとするシステムもあるが,この方式の最大の欠点は,正当な入場者を追跡できても不正な侵入者は関知できないことにある.認証を受けた者が入場するとき同時に不正な入場をも許してしまうこともあるが,システムがトラッキングできるのは正当な入場者の方なのである.

これらの背景から,認証されていない人物だけがモニタに投影される防犯CCDカメラ(=認証された人物は映らないカメラ,またはモザイクがかかるカメラ)を開発することには大きな意味がある.我々はこれまで,室内レーザレーダによる高速認証技術やBlobモデルによる画像認識技術等を開発してきているが,これら要素技術群からのデータを直接利用するだけでは高度で知的なニーズには対応できない.

本研究では,我々の独自要素技術と知的処理技術間のデータフローを構築し,知的な防犯CCDカメラシステムの実用化を目指す.本技術開発を通じて,各種要素技術にアクセスするためのXMLベース言語を開発し,ユビキタス環境での知的処理技術の開発基盤として広く提供することを目指す.

目的

本研究の目的は,二つある.

一つめの目的は,これまで我々の開発してきた要素技術に基づいて実用的に価値の高いシステムを提供することである.概要でも述べた通り,自分の日常生活をどこかに潜んだ見知らぬ誰かに観察されているかもしれないという心的負担は決して豊かな生活とは言えない.認証を受けていない人物だけが遠隔監視の対象になるカメラシステムは,多くのニーズに合致すると期待される.具体的なニーズに合致するシステムの実用化は,もっとも直接的に我々の提案してきた要素技術の価値を知らしめることにつながるであろう.

二つめの目的は,ユビキタスコンピュータ環境(生活空間の至るところにセンサやコンピュータがおかれ,それらがネットワークに接続されている環境)で,アプリケーションレベルからデータにアクセスするときに,プライバシーの問題を意識せずに扱えるような統括的なフレームワークを研究者開発者に提供することである.

研究項目

本システムは,大きく三つの技術要素((1)高速認証技術,(2)画像処理技術,(3)プライバシー情報管理技術)に分けられる.

(1)高速認証技術では,I-lidarを用いて認証と位置同定を行なう.本研究では,認証を行なうユーザがID(HVターゲットと呼ぶ)を持つことで,ユーザのIDと位置情報を取得できるようにする.

(2)画像処理技術は,ターゲット追尾技術(映像内の人物を個別にトラッキングする技術),認証済ターゲット消去処理技術(すでに認証した人物だけを画像から消去する技術),未認証ターゲット隠蔽映像補完技術(未認証の人物が,認証した人物の影に隠れたときでも,隠れた部分の映像をテンプレート画像を用いて補完する技術)から構成される.これらの処理をすべて行なう時間は,充分に高速でなければならない.

(3)プライバシー情報管理技術では,知的処理を行なうアプリケーションからセンサデータにアクセスする部分の制御をXMLベースの言語を用いて実施する.具体的には,XMlタグとしてプライバシ情報を表現できるようにする.本研究では未加工のセンサデータごとに,「誰でも閲覧可能(level 1)」「データ管理者の許可があれば閲覧可能(level 2)」「データ提供者の許可が必等(level 3)」等のレベルをXMLタグ<Xi:Prv level="X"/>の形式で用意する計画である. 知的処理アプリケーションからは階層的なアクセスを許す構造にし,それぞれのレベルに応じた認証処理を定型化することで,今後広く普及すると考えられる各種ユビキタスセンサから送られてくる複数の低レベルデータをプライバシーの問題に考慮しつつ取り扱うことのできるフレームワークを提供することができる.

研究情報(非公開情報)

支援環境

関連情報/URL

プライバシ関連ニュース

P3P
W3Cのプライバシーに関するワークグループ.そのプレスリリース

機能/メディアに関連するニュース

ウェブページ/Web page


What is SSC?


mail iconyoshinov@i.am