本ページは,Stanford univ. APARCのvisiting fellowであるMr.Fukuokaの講演をもとに,筆者の理解する範囲をまとめたものである.本ページの公開を御許可くださったMr.Fukuokaに感謝する.(Mar.02)
今後加筆する予定です.(23.Mar.02)
本ページでのベンチャーキャピタル(以下VC)とは「株式公開(IPO)を目指す創業期の未公開企業への投資」を指すこととする.また,米国を投資地域としているケースを取り扱う.投資分野としてはソフトウエア,通信,ビジネスサービス,ライフサイエンス,ヘスルケア分野を対象としたVCを前提とする.
VCにはいくつかの種類がある.狭義のプライベートエクイティ(バイアウト),ベンチャーリース,インキュベーションセンター等も未公開企業の株式取得を行なうのでVCに分類される場合がある.それぞれ,リスクの性質や投資手法はことなるらしい.
出資形態には,「優先株式」「ワラント」「転換社債」が一般的に用いられる.日本国内では,優先株式より普通株式取得のケースが多いらしい.また,転換社債はブリッジファイナンスとしてまたは業績が悪化した場合に用いられることが多く,一般的には優先株式取得とのことである.
ベンチャー企業は,概ね次のような段階を経てIPOに到達する.
例えばSeries Aで,1株あたり$0.4の優先株を何千株か発行したとしよう.このとき,概ね30%以下の発行数で普通株を発行できる.普通株は優先株の1/10の値段をつけることが多く,この例なら$0.04ということになる.VCとしては(自分のとり分が減るので)あまりたくさんの普通株を発行したくはないが,一般的には30%程度という相場感があるらしい.
Series B, Series C,...と,優先株を発行するたびに普通株も発行する.これがストックオプションとして利用される.というのは,優先株もすべて普通株になるIPOの時点で,たとえば株価が$40.0あったとすると,Series Aで発行した普通株の価値は1000倍になっていることになる.そういうわけで,創業者やエンジェルは巨額の報酬を得られる可能性があるのである.
Mr.Fukuokaによれば,技術の市場浸透は概ね5段階に分けられるという.
市場規模としては,Pragmatistsの段階とConservativesの段階のハザカイ期に最大になる.
では,VCはどの段階の技術に投資を行なうかといえば,VisionariesとPragmatistsの間に位置する技術に対して投資を行なうのである.そのため,信頼できるvisonariansや信頼できるpragmatistsの意見をよく聞くのだそうだ.
VCは複数のファンドを運営していることが一般的で,そのファンドからの報酬が収益になっている.その報酬は固定報酬と成果報酬の二つがある.
VCのファンドはVC自身のポケットマネーというわけではないのだから,まさにlow risk, high returnの世界である.それだけに,VCに対する信頼やブランドイメージは重要なものであるといえる.普通の場合,「ファンドを設立するから出資してくれ」といったところで出資金を集められないだろう.
一般的には,運営するファンドの内部収益率(IRR)でパフォーマンスを評価する.
第一線のVCの,ここ10年間のIRRは平均25%〜30%といわれている.
ここシリコンバレーに私が来て以来,VCの話題が出た時にこの名前がでないことはなかったと思われるほど有名なVCは,Kleiner Perkins Caufield & Byers (通称KP)である.
彼らは設立以来,毎年自分たちの資産を倍にしているという.(彼らの成績は後日掲載したい.)しかも社員数は20名程度.こんな会社は他には見当たらないだろう.したがってKPに出資したいという人は門前市を成す.さらに,KPがSeries Aで投資を決定した会社に対しては,Series B以降の出資者の心配は一切不要になる.KPが投資していることが,なによりも確かな形でその企業の将来性を物語るからである.
VCは,リードインベスターとそれ以外の投資家に分けられる.
リードインベスターとは,ある特定の企業の投資計画の立案に際して中心的な立場となる投資家(投資会社)のことで,米国で一般的であるものの日本では一般的ではない.(そのため,日本では横並びの投資家が利害を対立させてしまったりするので不都合が生じることがある.)
リードインベスターの主な作業の流れは,次の通り.
一方,その他のインベスターは,リードインベスターの「出資決定」段階から参入する.
Due Diligenceには次の二つがある.
人的リスク,技術リスク,市場リスク..(執筆中)
投資家が評価する企業価値 ≧ 新株発行価格がつける企業価値
PER (Price Earning Ratio)
PSR (Price Sales Ratio)
DCF (Discounted Cash Flow)
Pre-Money Valuation
Post-Money Valuation