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RACCOシステム本体はこちらです.

Raccoとはなにか

Raccoとは,論文の投稿と査読者への配布および審査結果の集計などをインターネットを通じてペーパーレスで行えるように作られた論文ハンドリングシステムです.学会活動の中心である「論文誌(ジャーナル)の発行」と「研究会議(コンファレンス)の開催」を担当する編集委員長や運営委員長を強力にサポートします.

本プロジェクトをS4と呼称しています.我々の最初のシステムはS4と呼ばれていました.S4とはSecrteary System for Scientific Societiesの略称です.

★ なぜ,Raccoを使うと便利なのか?

ただし,このシステムを利用するにあたって,利用者全てに認識していただかねればならないことがあります.それは,「本システムは,自動化に意味があるのではなく,事務局に集中する作業を参加者全員で負荷分散できることに意味があるのだ」ということです.

学会活動はそもそも研究者の相互貢献によって成立しています.会費から専任の事務局員を雇用できる大きな学会ならともかく,一般的には研究者が自ら事務局も兼務することが多いのです.投稿者は,そのような事務局に過剰なサービスを期待することはできません.本システムを利用することで,自分でできることを自分で行なうことができるようになります.このことに,本システムの本質的な意義があると考えます.

★ 開発者はだれか

開発者責任者は山本吉伸(独立行政法人産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター)です.

本システムは(株)アルゴクラフト,と(有)ポリフォニックデザインの協力を得て開発されました.

本システムのXMLハンドリングベースは,その後も引続き改良が続けられた結果,「XMLベース言語Xi」として横浜ベイキットのサイトから無料でダウンロードできるようになっています.(残念ながらraccoシステムは公開していません)

★ どうやったら利用できるのか

電子事務局ssss@submit-asap.org にお申し込みください.

★ 利用料金はかかるのか

(株)アルゴクラフトではraccoを利用することができるサーバを提供しています.raccoの利用そのものは無料ですが,データを入力して保存するためにはホスティング契約が必要になります.初期設定費用あるいは月々のデータ保守とネットワーク利用料がかかります.詳細は(株)アルゴクラフトのWebページを参照してください.

★ 開発者の意図はなにか

(a)大きな学会ばかりでなく,小さな学会の活動をも支援すること
これまでも,学会運営を支援するRaccoと同様のシステムは存在していました.しかし,それらはいずれも我々が満足いくものではありませんでした.投稿者に特定のワープロソフトの利用を義務づけたり,FAXで原稿を取り出せなかったり,ノウハウが蓄積しなかったり...最大の問題は,「研究会での事務作業を電子化するのは簡単ではないし,たとえ電子化は可能であってもサーバを運営することは容易ではない」というところにあります.(そのため,本システムはソースを提供するのではなくサービスを提供するという形態をとっています).本システムを通じて,学会活動の電子化が促進されることを意図しています.なにより,活動的研究者の事務作業を軽減することができると期待しています.
(b) データを共有することで適切な査読者候補を探し,学会間の交流を促進すること.
高いクオリティの研究活動を支えるのは,査読者です.査読者には,少なくとも投稿者の意図を充分に理解できるバックグラウンドや研究的興味を持っている人が望まれます.しかし,認知科学やヒューマンインタフェース研究などの学際領域では様々な立場からの論文が投稿されるので,適切な査読者を探すのは極めて困難な作業となっています.本システムを使ったことのあるユーザが増えて研究者のデータベースが増えれば,適切な査読者候補もまた増えると期待されます.その結果,交流の少なかった学会間の交流も促進されるでしょう.多くの研究者が「まったく自分とは異なる分野の研究者との交流は,新しいアイデアを刺激する」と信じています.(ただし,現在ではプライバシー等の問題を考慮して,学会間でのデータ交換は行なっていません.)
(c) 査読者に対する評価のデータを蓄積し,学会活動そのものを改良すること.
上述した通り,査読者の役割は極めて重大です.しかし,現在の学会活動では査読者はあくまでボランティアであり,研究者としての義務として捉えられることが多いようです.厳密で慎重な査読には時間も労力もかかりますが,これは適切に評価されていません.そのため,査読をするという作業自体に関心が薄れるといったことも起りつつあります.査読の重要性を学会が改めるためには,まず査読経験や状況の統計的把握が必須です.たとえば高速且つ適切に大量の査読を行った研究者を表彰できるようにするためには,その数値データが必要です.本システムを使うことで,これらのデータを得ることができ,研究活動そのものの改良に役立てることが期待されています.

★ このシステムを,自分たち専用で運用したいのだが?
★ ミニコミ誌の編集に使いたいのだが?

山本吉伸(yoshinov.yamamoto@aist.go.jp)までご連絡ください.折り返しお返事いたします.
本研究の平成10年度の成果である「S4」は,情報処理振興事業協会の「平成10年度高度情報化支援ソフトウェアシーズ育成事業」より支援を受けた.
本研究の平成11年度の成果である「S5」は,ソフトウエア工学財団の「平成11年度高度情報化支援ソフトウェアシーズ育成事業」より支援を受けた.

mail iconyoshinov@i.am